球体解釈 6.テレパシー
前曲↓
君をめぐって、過去と現在が交錯する。
夕立が響く 鉄橋の下
かつて君と雨宿りをした、思い出の地を訪れる。
頬伝う雨粒 君はふざけて
指で拭いながら言う 「泣かないで」
夕立に濡れた頬を涙に見立てて、泣き虫な君が自分をふざけてからかう。そんな情景が、幻が男には見える(あるいは、本当に男は涙を流しているのか)。
小さく笑う僕に言う 「泣かないで」
君を思い出して涙を流すのに、君は「泣かないで」と言う。
視線をそらした先 紫陽花が呼ぶ雷
ふと我に返れば、雷鳴が聞こえる。
日常の 例えばこんな一瞬さえ
いつの日か きっと思い出すだろう
些細な出来事ですら、君との時間が今も思い出される。
飛び出した君が言う 「羽ばたいて」
いなくなってしまった君が呼ぶ声が聞こえる。
「あの雲を見下ろすまで、羽ばたいて」
雲の上の自分のもとへ会いに来てくれと、君(=月)が呼んでいる。
一陣の風が運ぶ 過ぎ去った夏の記憶
風が呼び起こした記憶は、鉄橋の下、君とふざけあった思い出か。
視線をそらした先 紫陽花が呼ぶ雷
遠くへ
遠くへ
君に会いに、遠くへと。
響く雷鳴。ふと、よみがえる風景。
傘を捨て、男は雨の中に飛び出す。
空映す水たまり 川岸に咲く花火
君と見た花火
男は、思い出す。花火を見に来ていたことを。
いつの間にか 湿った風が運んだ張り紙
そこに描かれた 大きな飛行船
円環での「風待つ張り紙」に対応する。
次曲へのリーディングとなるフレーズ。
降りしきる雨の中、彼は飛行船に目を奪われ立ち尽くしていた。